我々上諏訪地区の担当は、秋宮二の柱を曳きます。注連掛から下馬橋までの曳行予定ですが、私と怪鳥さんが昼過ぎに着いたときまだ注連掛からのミニ木落しをやっと終えたところだった。
そんなわけで、ほぼ全行程を曳くことができた。ていうか、曳かねばならないのに遅れてるじゃん。
氏子のおじさんたちも「そろそろ休憩を」と言っても、木遣りがないてラッパが響いて、曳く曳く曳く。
午後5時、やっと休憩になったと思ったら、今度はまったく動かない。
曳行係たちが足早に行き交い「なんかしらねいけど、とにかく停止!」と言われてストップ。
しばらくすると、周りのおじさん達が家でケーブルTVの中継を見ている家族との電話で「春宮一の柱の建御柱で事故があった」という情報を得る。にわかに騒がしくなり、いろいろな情報が飛び交って「現場検証が始まったから、まだしばらく動けない」ということが伝わってきた。「それって、大怪我だよね」「重傷らしい」「死亡したらしい」「ニュースで言ってたから本当だ」と、次々に情報が口伝いに広がっていく。
結局、春宮の坂の上で我々は二時間ほど待つしかない。御柱祭街道に張り詰めた空気が伝わっていくのがわかった。
御柱祭では今までもケガはあったけど、建御柱の最中に落下するなんて……
すっかり暗くなった夜7時過ぎ、やっと春宮境内の木落しになった。でも、いつも以上に「足元に気をつけて!」「無理な人はすぐ外れろ」と細かい注意が行き交い、山出しの木落坂くらい緊張感が漂う。
さらに、落とす直前に柱の上で木遣りが唄い、華乗りが声を出すと、それから静かに柱を降りた! 「今日は誰も飛び乗るな」という声がかかると、追いかけ綱が切られて御柱祭が落ちてきた。そう、丸太ん棒になった柱だけがズルズルっと落ちてきたのだ。それはある意味、ただならぬ緊張感で怖かった。
もっと怖いのが、薄暗い春宮の境内で時間が止まったままのような「春宮一」の柱がそのままだったこと。
明日以降は、すべてが安全に行われることを祈ります。